世界各地の陶磁器には、その土地ごとの風土や歴史が刻まれています。アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、それぞれの地域で受け継がれてきた技術と文化が、独特の魅力を持つ陶磁器を作り出しました。この記事では、各地の陶磁器の産地とその特徴を紹介し、料理の演出に新たな視点を提供します。歴史と伝統が息づく陶磁器の世界を通じて、皆さまの興味を引き、楽しんでいただければ幸いです。

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アジアの陶磁器の産地

アジアの陶磁器の産地
アジアの陶磁器の産地

高麗青磁白磁 (Korea)

高麗青磁白磁 (Korea)
高麗青磁白磁 (Korea)

12世紀頃、高麗時代に朝鮮半島で誕生した青磁と白磁は、中国宋代の焼物の影響を受けながらも、独自の美しさと技術で高く評価されています。シンプルな無地のものから、陰刻、陽刻、象嵌を施した繊細な作品まで、多様なスタイルが存在し、各地の窯場で作られてきました。

ジャイプール ブルーポッタリー (India)

ジャイプール ブルーポッタリー (India)
ジャイプール ブルーポッタリー (India)

ブルーを基調に黄やグリーンを取り入れた動物や魚、草花をモチーフにした絵皿や壺が特徴です。トルコやペルシャの陶器の影響を受けていると言われており、インドのジャイプールでは1700年代に各国の工芸家が集まり、クラフトが発展しました。

リシタン陶器 (Uzbekistan)

リシタン陶器 (Uzbekistan)
リシタン陶器 (Uzbekistan)

シルクロードの重要な通過地点として栄えたウズベキスタンは、14世紀の終わりには中央アジアの施釉陶器の中心地となりました。赤土を成形し、天然の絵の具で植物柄を描き込んだ大皿は、飾り皿としても活用されます。

バッチャン焼 (Vietnam)

バッチャン焼 (Vietnam)
バッチャン焼 (Vietnam)

ベトナムの首都ハノイ近郊のバッチャン村で生産される陶磁器は、15世紀に製造が始まりました。陶土に恵まれ、川を利用した運搬の利便性が発展を支えました。菊花やトンボのモチーフが描かれた染付や色絵の独特なデザインは、観光客にも広く親しまれています。

景德鎮 (China)

景德鎮 (China)
景德鎮 (China)

江西省北東部の都市であり、中国第一の窯業地である景德鎮は、漢代に起源を持ちます。元の時代には青磁や白磁、青白磁、染付を、明、清の時代には赤絵を開発し、宮廷直属の窯(官窯)となりました。現在も良質な土が採れ、窯業が盛んです。

ベンジャロン焼 (Thailand)

ベンジャロン焼 (Thailand)
ベンジャロン焼 (Thailand)

語源は「五彩」に由来し、鳥、花、草、炎などの伝統的なモチーフを3~8色の彩色と金彩で施した高級食器です。タイのアユタヤ王朝の17世紀に王室のために作られたのが始まりで、主に鑑賞用として広く一般にも広まりました。

ヨーロッパの陶磁器の産地

ヨーロッパの陶磁器の産地
ヨーロッパの陶磁器の産地

グジェリ (Russia)

グジェリ (Russia)
グジェリ (Russia)

モスクワ近郊のグジェリ村は、良質な粘土と燃料となる豊かな森に恵まれ、14世紀に窯業が始まりました。白地に藍色の絵付けが施されたカップ&ソーサーには、東欧らしい花々やロシア民話の登場人物が描かれており、温かみのあるデザインが特徴です。

マヨルカ焼 (Italy)

マヨルカ焼 (Italy)
マヨルカ焼 (Italy)

15世紀、スペインから伝わった錫釉色絵の技法がイタリアで発達し、マヨルカ独自のスタイルが誕生しました。古典神話や歴史、聖書をモチーフにした鮮やかな絵柄が厚みのある生地に映えています。

グムンデン焼 (Austria)

グムンデン焼 (Austria)
グムンデン焼 (Austria)

オーストリアのザルツブルク近くのトラウン湖畔で生産されるグムンデン焼は、15世紀後半に起源を持ちます。17〜18世紀には特徴的なオブジェ陶が生まれ、「グリュンゲフラムト(緑の炎)」と呼ばれる素朴なタッチのグリーンの絵付けが特長です。

リモージュ焼 (France)

リモージュ焼 (France)
リモージュ焼 (France)

フランス中部のリモージュ近郊で1768年に開窯されたリモージュ焼は、磁器の原料カオリンの発見により始まりました。当初は絵付け前の白磁をセーブル窯に提供し、〈レイノー〉〈アヴィランド〉などの王室御用達ブランドで知られています。

デルフト陶器 (Netherlands)

デルフト陶器 (Netherlands)
デルフト陶器 (Netherlands)

17世紀、ヨーロッパの王侯貴族に珍重された中国磁器を模して、オランダで生産された廉価な錫釉陶器がデルフト陶器の始まりです。デルフトブルーと呼ばれる藍彩や色絵が特徴で、フェルメールの絵画にも登場する白釉の美しさが際立ちます。

キュタフヤ陶器 (Turkey)

キュタフヤ陶器 (Turkey)
キュタフヤ陶器 (Turkey)

トルコのキュタフヤは、オスマン帝国時代から陶磁器産業の中心地として栄えてきました。14世紀にモスクのレンガやタイルの生産が始まり、17〜18世紀には小花などの繊細なモチーフを鮮やかな多色使いで描いた皿や鉢物、ピッチャーなどが作られました。

タラベラ焼 (Spain)

タラベラ焼 (Spain)
タラベラ焼 (Spain)

スペインのタラベラは、中世から続く陶器の町で、国王自らがセビリアの陶工を招いて絵付けや施釉の技術を革新しました。17世紀には宮殿のための花瓶や壺が作られ、闘牛やドンキホーテ風の騎士など、スペインらしい絵柄が特徴です。

ボレスワヴィエツ陶器 (Poland)

ボレスワヴィエツ陶器 (Poland)
ボレスワヴィエツ陶器 (Poland)

ポーランドのドイツとチェコの国境付近に位置するボレスワヴィエツは、中世初期に陶器製造が始まりました。長石などを含む良質な粘土層に恵まれ、クリーム色の地にスタンプ押しや絵筆で草花を描き込む独特の技法が用いられています。

アメリカ大陸の陶磁器の産地

アメリカ大陸の陶磁器の産地
アメリカ大陸の陶磁器の産地

マラジョーアート (Brazil)

マラジョーアート (Brazil)
マラジョーアート (Brazil)

マラジョー族によるブラジル最古の陶器芸術は、生活道具である水瓶や骨壺、笛などに蛇やトカゲ、亀などの動物を線や丸で表現する模様が特徴です。これらのデザインは動物神崇拝に由来し、20世紀に入り再評価されて民芸品として製造されています。

チュルカナス焼 (Peru)

チュルカナス焼 (Peru)
チュルカナス焼 (Peru)

ペルーのピウラ県チュルカナス村で作られる土器は、粘土ひもを貼り付けたいぶし焼きの後にひもを外して地の色を出す「ネガティブ焼成」や、石による磨き仕上げなどの古代の技法が1970年代に復興されました。

トナラ焼 (Mexico)

トナラ焼 (Mexico)
トナラ焼 (Mexico)

メキシコのトナラ焼は、香辛料などで色づけした顔料で全体を飾り、エキゾチックな絵柄が特徴です。釉薬をかけずに瑪瑙で研磨してツヤを出す技法が使われています。16〜18世紀にはスペインやアジアの技術が流入し、土着の焼物と融合して発展しました。

アフリカの陶磁器の産地

アフリカの陶磁器の産地
アフリカの陶磁器の産地

ナブール焼 (Tunisia)

ナブール焼 (Tunisia)
ナブール焼 (Tunisia)

ナブール焼は、花器に生けた花やモスクを連想させるアラベスク文様が特徴です。絵筆による濃淡を活かしたデザインで、黄色や緑、青を基調に描かれています。この焼物は壺などの日用品だけでなく、チュニジアのナブールの街の標識や建物の壁面、タイルなどにも広く使われています。

世界の陶磁器に込められた歴史と魅力

世界の陶磁器に込められた歴史と魅力
世界の陶磁器に込められた歴史と魅力

この記事では、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカの各地で生まれた陶磁器の産地とその特徴をご紹介しました。各地域の風土や歴史が反映された陶磁器は、それぞれに独自の魅力があります。これらの陶磁器の背景を知ることで、料理の演出に新たな視点をもたらすことができるでしょう。陶磁器の美しさと伝統を感じながら、日々の食卓をより豊かに彩ってください。

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篠宮恵美
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株式会社ウェルリッチ 代表取締役:志渡澤 和樹

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