著名な作家の作品を飾って愛でるのも素晴らしいですが、器という道具は実際に使ってこそ、その真価を発揮します。この記事では、3人の器好きたちが選ぶ特別な器を通じて、器がどのように日常を彩り、料理を引き立てるのかを紹介します。自分だけの特別な器を見つけるヒントになればとおもいます。
器の本来の美しさを引き出す
手を加えすぎず、自然な美を活かす
器にできた傷や欠けをそのまま楽しむのも一つの美学だと、ある女性は語ります。
「もちろん使えないものは直しますが、‘直しすぎない’ようにしています。器そのものの美しさや個性を消してしまうこともありますから」と彼女はいいます。日々の食卓を学びの場とし、いろんな角度から器を眺めて、どこまで手を入れるかを決めるのだそうです。
「ものすごく感覚的な判断ですが、古物の場合、欠けはそのまま残すことが多いですね。経年による味わいのある器は、その傷も同じくらい魅力的に感じます。直して使うだけではなく、美しさを感じながら使うことが最終的な目的です」と彼女はいいます。毎日使う器の理想は、食卓を引き立ててくれるもの。料理が盛られた器が素敵だと、嬉しい気持ちになると彼女は語ります。心が真っ先に反応するからこそ、日々触れる器は暮らしの土台であり、食べるものと同じくらい大事だと考えているそうです。
自然との調和が生む美しさ
現在、彼女は異なる地域での二拠点生活を楽しんでいます。特に心の拠り所となっているのは、見渡す限り、田園風景が広がる里山での暮らしだそうです。
「自然とともに暮らすようになって、心と体のバランスが整いました。食生活で変わったのは野草を食べるようになったことです。」と彼女はいいます。続けて、「生かせるものはあるがままに」と語り、暮らしをシンプルにしたいと考える彼女は、里山での生活を通して美しく暮らすとはどういうことなのか、器と向き合いながら日々思いを巡らしているのだそうです。
理化学容器から始まるガラスへの愛
光を受けるガラスの美しさ
高台にある古いマンションのリビングからは、大きな窓を通して青空が広がり、陽の光がさんさんと差し込んでいます。ある女性が、「光がたっぷり入る部屋が好きです」と語ってくれました。彼女は、この光を美しく映し出してくれるガラスの器を数多く持っています。幼い頃に海外で見つけた目盛り付きの小さなビーカーが、ガラス器を集め始めたきっかけだったそうです。
ガラス器の機能美と実用性
彼女がガラス器に惹かれた理由は、その機能美です。同じように装飾のない潔さに美を感じる試薬瓶やビーカーなどの理化学ガラスを集めるようになったそうです。これらはリビングにあるガラスの棚に収納されていますが、飾るためではなく、実際に使用するために置かれていると話してくれました。「何も入っていなくても集合しているだけで素敵なんですよ。それが理化学ガラスの魅力だと思います」と彼女はいいます。
さらに、彼女は食器だけでなく、文房具や書類、手紙などもガラス器に収納しています。「中が見えないと、どこにあるのかわからなくなります。中身が丸見えのガラス器なら、放っておけずに片付けをするようになるので私にピッタリなんです」と彼女はいいます。また、ガラス器には存在感があるようでないような軽やかさがあり、領収書などつまらないものが入っていても空間に馴染むのだそうです。
彼女は、試薬瓶の茶色を素敵だと思っているうちに、食器はクリアよりも色のあるものが増えていったと言います。「光が当たるときれいだろうなあとか、あの野菜が合いそうだなあなど想像する時間が幸せなんです。色つきガラスは盛り付けを艶っぽく見せてくれます。パンやスコーンなど、なんでもないものでも実力以上に見せてくれるので重宝しています」と彼女はいいます。
料理がもっと楽しくなる青い器
青が映し出す料理の魅力
「青い器」に出会ったことで、料理を本格的に始めることになったある女性にお話を聞きました。「料理を始める前は特にこだわりのある器を持っていなかったんです。でも、ある日見つけた青いお皿に一目惚れして、簡単な料理をのせただけでもすごく美しく見えたんです。器ひとつで料理がこんなに魅力的に変わるんだと驚きました」と彼女はいいます。それ以来、料理教室に通うなどして料理の腕を上げたそうです。作れる料理のレパートリーが増えるにつれて、青い器の魅力も増していったと語っています。
「家庭料理って、どうしても茶色いものが多くなりがちですが、青い器に盛ると料理がパッと映えて、おいしそうに見えるんです。もちろん、緑や赤などの鮮やかな色の料理も引き立ててくれます」と彼女はいいます。
青の個性が引き立てる料理
彼女は、青い器に魅了され、さまざまな青の器を集めるようになったそうです。「同じ青でも、器によって微妙な色合いや質感が違って、それぞれの器が持つ個性を楽しんでいます。新しい青の器に出会うたびに、どんな料理を盛りつけようかとワクワクします」と語ります。大勢で食事をするときも、青い器を効果的に使うことで、食卓全体が華やかな印象になるのだそうです。自宅のキッチンには、そんな青い器がたくさん並んでおり、器に合わせて料理を考えることも多いとのことです。「青い器は、料理のインスピレーションや遊び心を常に与えてくれる存在です」と彼女は話してくれました。
器の美と共にある暮らし
美しい器に囲まれた生活は、日々の食事をより豊かにし、心を潤すひとときを提供してくれます。器の選び方や使い方にこだわることで、器の持つ個性や美しさを楽しめ、食卓に彩りが加わります。より一層豊かな食卓を実現できるでしょう。ぜひ皆さんも楽しんでみてください。
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