器好きが選ぶ、特別な器たち②

ある女性の料理の魅力は、季節の野菜やフルーツの色彩を生かした料理にあります。彼女が特に好むのは白い器で、その理由は料理の色を引き立て、まるで花が咲いたように見えるからだそうです。白という色が好きで、服やインテリアも自然と白を選ぶようになったとのこと。食器も和洋問わず、新旧問わず、気に入ったものを手に取るが、特にフランスのアンティーク食器が一番のお気に入りだそうです。

彼女は自宅に友人を招いて料理を振る舞うことが多いのですが、その際の取り皿やティーカップは場所や年代がバラバラです。それでも食卓全体に統一感があるのは、すべてが白い器であるためだといいます。アンティークの食器をセットで使うと、少し豪華すぎたり甘すぎたりすることがあるが、形や色味、ニュアンスが少しずつ異なることで、肩の力が抜けた感じが出るのだそうです。

白い器の中でも、金継ぎが施されているものや繊細な貫入が入っているものなど、一つとして同じ表情のものはありません。ある女性は、年月を経て刻まれた器の表情がアンティークの最大の魅力であると感じています。特に白い器は金継ぎや貫入のニュアンスが際立ち、個性が際立つといいます。欠けている部分も含めて、その器の愛おしい個性だと感じているそうです。世界に一つしかない器は、使うたびに愛着が増す特別な存在だと語っていました。

ある料理研究家の女性は、世界を旅しながら現地の料理と共に器も集めています。彼女のキッチンには、市場や蚤の市などで手に入れた各国の器が所狭しと並んでいます。東南アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカなど、さまざまな地域の器が集まっており、それぞれの土地の文化や歴史を感じることができます。彼女は「高価な食器は持っていません。毎日使うものだから、気兼ねなく使えるものがいいんです」と語ります。彼女が特に気に入っているのは、手作り感のある素朴な器や、地元のレストランで使われる業務用のものだそうです。

彼女が特に惹かれるのは、歴史を感じさせる器たちです。例えば、アジアの手描きの模様が美しい陶器や、中東の鮮やかな色彩が特徴の器など。それぞれの器には、その土地の文化や生活が反映されており、使うたびにその国の風景が浮かんできます。彼女は「料理だけでなく、その国の食文化を知るのが楽しいんです」と話します。

彼女の自宅には和食器はほとんどありませんが、「朝食はいつも和食。このカップに味噌汁を入れてます」と笑顔で見せてくれたのは、鮮やかな色合いのカップでした。料理教室では、国ごとに料理と器を揃えることもありますが、彼女の食卓ではさまざまな国の器が混ざり合っています。「使ってみてしっくりくればそれでいいんです」と語る彼女は、異国の日用品を日本の食卓に取り入れ、暮らしを彩ることを楽しんでいます。

漆器は古くから日本の食文化を支えてきましたが、その伝統的な印象から現代の生活に馴染みにくいと感じる人もいるかもしれません。あるデザイナーの男性は、この問題を解決するために、漆器の「色」と「質感」に注目しました。彼は都市生活から地方に移住し、そこで工芸に触れることで、漆器への興味を深めました。特に彼が心惹かれたのは、マットな仕上がりの白漆です。

新しい環境で生活を始めた彼は、ある日、白漆の存在を知りました。従来の赤や黒の漆器とは異なり、白漆はシンプルでモダンな空間にも調和しやすいのです。特に白漆の器は、他の素材と組み合わせてもその美しさが引き立ちます。彼は、「白漆の器は、使うたびにその魅力を再発見できるんです」と語ります。

白漆のもう一つの魅力は、その経年変化です。最初はベージュのような色合いですが、使い込むうちに白く変化していきます。この変化を楽しむことができるのが白漆の特長です。彼は、「白漆の器が年月を経て変わっていく様子を見守るのが楽しい」と話します。白漆の器は、日常の生活に溶け込みながらも、独自の美しさと個性を持ち続ける特別な存在です。

美しい器に囲まれた生活は、日々の食事をより豊かにし、心を潤すひとときを提供してくれます。器の持つ個性や美しさを楽しむことで、料理は一層引き立ち、食卓に彩りが加わります。この記事で紹介したように、器との出会いが新たな料理のインスピレーションを生み、日常の中に小さな幸せをもたらすのです。器の選び方や使い方にこだわることで、より一層豊かな食卓を実現できるでしょう。